香典をいただいたとき、本来であれば直接お会いするか礼状を送るのが正式なマナーです。
しかし最近では、遠方に住んでいる方や、仕事の都合ですぐに会えない方へのお礼を「LINE」で伝えるケースも増えてきました。
とはいえ、カジュアルな印象のあるLINEでのお礼には「失礼にならないだろうか」と心配になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、香典のお礼をLINEで送るときに気をつけたい基本マナーや、避けるべき表現をわかりやすく整理しました。
さらに、シーンごとにすぐ使える短文の例文から、丁寧に伝えたいときのフルバージョン例文まで豊富に紹介します。
読み終えるころには、自分に合ったお礼の伝え方が見つかり、安心してメッセージを送れるようになるはずです。
香典のお礼をLINEで送るのは失礼になる？
香典をいただいた際のお礼は、本来であれば直接お会いして、あるいは礼状を送るのが正式なマナーです。
しかし近年は生活スタイルの多様化もあり、LINEなどのメッセージツールでお礼を伝えるケースも増えています。
では、LINEで伝えることは「失礼」になるのでしょうか。
正式なマナーとの違いを整理
香典のお礼の基本は「直接会う」か「手紙で礼状を送る」ことです。
LINEやメールは略式にあたるため、あくまで「取り急ぎのお礼」として用いるのが無難です。
正式なお礼を後日に行う前提で、まずは気持ちを伝える手段として使うと良いでしょう。
| 方法 | 位置づけ | 適するシーン |
|---|---|---|
| 直接会う | 最も丁寧 | 近しい親族や職場関係 |
| 手紙（礼状） | 正式なお礼 | 幅広い相手に適用可 |
| LINE・メール | 略式 | 親しい友人や遠方の方への連絡 |
LINEで伝えてもよいケースとは
次のような場合は、LINEで感謝の気持ちを伝えても失礼にはあたりません。
- 親しい友人や普段からLINEでやりとりしている相手
- 遠方に住んでおり、すぐに会うことが難しい相手
- 仕事の都合で早急にお礼を伝える必要があるとき
ただし、年配の方や目上の方には避けるのが無難です。
相手別に考える「適切な伝え方」
誰に向けてお礼を送るのかによって、適切な手段は変わります。
たとえば、親しい友人ならLINEでも温かい気持ちは伝わりますが、職場の上司や恩師には礼状を選んだ方が良いでしょう。
「相手に合わせた方法を選ぶ」ことこそ、失礼を避ける最大のポイントです。
香典のお礼をLINEで伝えるときの基本マナー
LINEで香典のお礼を伝えるときには、ちょっとした言葉遣いや表現の選び方が大切になります。
ここでは、送る前に押さえておきたい基本マナーを整理しました。
敬語と表現の選び方
普段のLINEではカジュアルな言葉を使うことが多いですが、香典のお礼ではできるだけ丁寧な敬語を心がけましょう。
例えば「ありがとう」よりも「御礼申し上げます」や「感謝いたします」といった表現が適切です。
相手に失礼がないよう、落ち着いた文章にすることが大切です。
| NG表現 | おすすめ表現 |
|---|---|
| ありがとう | 御礼申し上げます |
| 助かりました | ご厚情を賜り感謝いたします |
| すみません | 恐れ入ります |
略式のお詫びを入れる重要性
LINEでのやりとりは略式にあたるため、必ず「LINEで失礼いたします」といった一文を入れておくと安心です。
これにより、相手に「形式を軽んじている」と思われにくくなります。
避けるべき言葉遣いや注意点
弔事に関するやりとりでは、普段使っている表現でも不適切になることがあります。
「重ね重ね」「わざわざ」「益々」などの重ね言葉は不幸が続くことを連想させるため避けましょう。
また、絵文字やスタンプは使わない方が無難です。
短くても丁寧にまとめることで、気持ちがしっかり伝わります。
香典のお礼をLINEで送る時の例文集
ここからは、実際に使える香典のお礼のLINE文例を紹介します。
短文ですぐ送れる例と、より丁寧なフルバージョンの例文を両方掲載しますので、状況に合わせて使い分けてください。
参列できなかった方への例文
参列はされなかったけれど香典をいただいた方へのお礼には、まず感謝を伝え、略式であることをお詫びしましょう。
短文例
この度はご厚情を賜り、誠にありがとうございました。
本来なら直接お会いしてお礼を申し上げるべきところ、LINEで失礼いたします。
フルバージョン例
〇〇様
この度は故人の葬儀に際しまして、過分なるご厚情を賜り心より御礼申し上げます。
おかげさまで無事に葬儀を終えることができました。
本来であれば直接ご挨拶に伺うべきところ、取り急ぎLINEにてご連絡申し上げますことをお許しください。
後日改めてご挨拶させていただきたく存じます。
今後ともよろしくお願いいたします。
香典だけいただいた場合の例文
香典のみをいただいた場合は、特に「お気遣いへの感謝」をしっかりと伝えることが大切です。
短文例
この度は香典を賜り、心より御礼申し上げます。
略儀ながらLINEにて失礼いたします。
フルバージョン例
〇〇様
この度はご香典を賜り、誠にありがとうございました。
葬儀にて直接お礼を申し上げることができず失礼いたしました。
取り急ぎ、LINEにて感謝の気持ちをお伝えさせていただきます。
後日、改めてご挨拶の機会をいただければと存じます。
引き続きよろしくお願いいたします。
親しい友人・親戚への例文
親しい相手には、少し柔らかさを残しながらも、丁寧さを崩さずに伝えることがポイントです。
短文例
この度は本当にありがとう。
無事に葬儀を終えることができました。
取り急ぎLINEで失礼しますが、感謝の気持ちをお伝えします。
フルバージョン例
〇〇さんへ
この度はご厚情をいただき、心より感謝しています。
おかげさまで葬儀を無事に終えることができました。
本来であれば直接お会いしてお礼を申し上げるべきところ、まずはLINEでご連絡させていただきました。
また落ち着きましたら改めてお会いしてお礼を伝えさせてください。
これからもよろしくお願いいたします。
目上の方に送るときの文例
目上の方へのお礼は、特にフォーマルな敬語を意識しましょう。
短文例
この度はご厚志を賜り、誠にありがとうございました。
本来であれば直接ご挨拶に伺うべきところ、LINEでのご連絡となりましたこと、どうかご容赦ください。
フルバージョン例
〇〇様
この度は故人の葬儀に際しまして、ご丁重なるご厚情を賜り厚く御礼申し上げます。
おかげさまで無事に滞りなく葬儀を終えることができました。
本来であれば拝眉のうえご挨拶申し上げるべきところ、まずは略儀ながらLINEにて御礼申し上げます。
改めてご挨拶させていただきたく存じますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
香典返しが届いたときのお礼メッセージ例
香典返しは、香典に対するお礼として遺族から贈られるものです。
基本的には香典返しにさらにお礼をする必要はありませんが、届いたことを伝えたり、相手を気遣うメッセージを送るのは失礼にはあたりません。
ここでは、シーン別に香典返しのお礼の伝え方を紹介します。
電話・手紙・メールとの使い分け
香典返しが届いたことを伝える手段はさまざまですが、相手との関係性によって選ぶのが基本です。
| 手段 | 向いている相手 | 特徴 |
|---|---|---|
| 電話 | 親族や親しい関係 | 声で気遣いが伝わりやすい |
| 手紙 | 目上の方 | 丁寧で正式な方法 |
| メール・LINE | 親しい友人や日頃から連絡を取る相手 | 簡潔で早く伝えられる |
LINEで伝えるときのシンプルな例文
香典返しをいただいたことを報告するメッセージは、短くても十分です。
短文例
先ほど香典返しを頂戴しました。
ご丁寧なお心遣いをいただき、恐れ入ります。
どうぞご無理なさらずお過ごしください。
フルバージョン例
〇〇様
先ほど香典返しのお品を受け取りました。
丁寧なお心遣いを賜り、誠に恐れ入ります。
まだ何かとお忙しいことと存じますので、どうぞご自愛ください。
まずは略儀ながらLINEにて御礼申し上げます。
お礼を伝えないほうがよいケースもある
香典返しは「これで一区切り」という意味も含まれているため、あえてお礼を伝えないことが遺族への配慮になる場合もあります。
遺族が多忙な時期に無理に連絡するのはかえって負担になることもあるため、相手との関係性を考えて判断しましょう。
大切なのは「お返しを求めない姿勢」を示すことです。
まとめ｜香典のお礼をLINEで送るときの心構え
ここまで、香典のお礼をLINEで伝える際のポイントや文例を紹介してきました。
最後に改めて大切な心構えを整理しておきましょう。
最も大切なのは「感謝を丁寧に伝えること」
形式にとらわれるよりも、まずは心からの感謝を言葉にすることが何より重要です。
たとえLINEという略式の手段であっても、誠意がこもった文章であれば十分に気持ちは伝わります。
後日改めて直接伝える気持ちも忘れずに
LINEでお礼を伝えたとしても、それで終わりではありません。
後日に手紙を送る、直接会って挨拶するといった機会を持つことで、より一層丁寧な印象になります。
「まずはLINEで取り急ぎのお礼を伝える」「改めて正式に感謝を表す」という流れを意識しておくと良いでしょう。
| ステップ | 行動 | ポイント |
|---|---|---|
| 第一段階 | LINEで取り急ぎの感謝を伝える | 略式であることを伝え、短文でも丁寧に |
| 第二段階 | 後日改めて礼状や直接の挨拶 | 正式なお礼として相手に敬意を表す |
香典のお礼をLINEで送る場合、常に「略式であることへの配慮」と「誠実な気持ち」を意識することが大切です。
この二つを押さえておけば、相手に失礼のない、心のこもったお礼を伝えることができるでしょう。
